いきなり団子の「いきなり」の意味とは?

熊本県の郷土料理であるいきなり団子。輪切りにしたさつまいもと餡を生地で包み、蒸して出来上がるいきなり団子は、ほくほくのさつまいもと餡の甘味が絶妙にマッチした伝統ある郷土菓子です。

もちもちの生地もたまりません。でも、この「いきなり」とは一体なんなのでしょうか。

おそらく熊本県民なら誰しも小さい頃に「いきなり団子のいきなりってなーに?」と両親や祖父母に聞いたことがあるのではないでしょうか。

いきなり団子の歴史

いきなり団子は阿蘇山の麓の地域から始まりました。特に大津町では阿蘇山の火山灰の影響でさつまいもの栽培が盛んに行われており、今でも名産地として活躍しているほど、さつまいもと馴染みの深い地域です。

ちなみに熊本ではさつまいものことを「からいも」と呼んでいます。戦後の日本では砂糖はぜいたく品であり、なかなか手に入りません。

そのため甘いお菓子はめったに手に入らず、おやつ代わりに蒸かしたさつまいもを食べていました。毎日のおやつがさつまいもだけでは飽きるので、さつまいもを小麦粉の生地で包んで蒸かして食べたのがいきなり団子の始まりだと考えられています。

もちろん、当時のいきなり団子には餡は入っていません。さつまいもと、ほんの少し塩味のきいた生地だけで食べられていました。

言い伝えられている「いきなり」の由来

いきなり団子の名前の由来はいくつかあり、どれも「なるほど!」と思うものばかりです。

①いきなり来たお客さんにもすぐに出せる

突然の来客にもさっと作って出せることからいきなり団子と呼ばれるようになったという話がとても有名です。私も母親からずっとそのように言われてきました。

生地は小麦粉があればすぐに作れますし、さつまいももざっと輪切りにするだけ。蒸し時間も20分ほどです。手馴れた人であれば30分くらいで作ってしまうことができます。

②簡単に作ることができる

上記のものと少し被りますが、いきなり団子は作ろうと思えばすぐに作ることができます。実は「簡単に」のことを熊本弁で「いきなり」と言うのです。

つまり簡単に作れる団子、ということでいきなり団子と呼ばれるようになったと言われています。

③いきなりな人が作る団子

いきなりな人だなんて普段言うことはないので、急に言われても何のことやら分かりませんよね。熊本ではざっとした人や大雑把な人のことをいきなりな人と呼ぶことがあるのです。

ざっと作れる団子ということでいきなり団子と呼ぶようになったという説もあります。

④「生き成り」が語源となっている

いきなり団子を作るとき、さつまいもは生のまま切って生地で包みます。あらかじめ蒸かす必要がなく生のまま直接使うことから「生き成り団子」と言われるようになりました。

実は多いいきなり団子の顔ぶれ

一般にいきなり団子と言うと黄金色のさつまいもに餡が乗っかったものを思い浮かべます。でも近頃のいきなり団子はこれだけではありません。

皮にきなこがまぶさっているもの、ムラサキイモを使ったもの、餡子にいろいろな味がついているもの、本当にたくさんの種類のいきなり団子があります。色とりどりのいきなり団子を見ているとまるで甘いデザートのようにも見えてきます。

熊本城の付近やからいもの名産地である大津町の道の駅などに足を運ぶとさまざまな表情を持ったいきなり団子に出会うことができます。もちろん、この他の場所でも買うことができます。

まとめ

熊本の人が昔から当たり前のように食べ親しんでいるいきなり団子ですが、「いきなり」の意味を辿っていくと、なんだか昔の温かい家庭の様子がじわっと目に浮かんでくるような気がします。ご家庭で簡単に作れる伝統的な郷土菓子というのもなかなか珍しいもので、いきなり団子は専門店だけでなく今も身近なところで作り続けられています。

最初は餡が入っていないいきなり団子が今では餡が当たり前のように入っています。これと同じように少しずつ色とりどりないきなり団子も主流になっていくのでしょうか。

これからのいきなり団子の成長からも目が離せません。

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