熊本の装飾古墳の壁画がすごい。古代に生きた日本人の心象風景

近頃は、若い女性たちを中心として、歴史に興味を持つ人が増えてきました。
「歴女」や「古墳女子」などの言葉が生まれているように、古代史へのロマンに惹かれる人たちがさまざまな遺跡歩きを楽しんでいます。

そして、最近特に人気急上昇の遺跡が古代に作られた身分の高い人を葬った古墳です。歴史愛好家の間では非常に人気が高いスポットとなっており、古墳をテーマにしたイベントが開催されると大賑わいになっています。

しかし、古墳と一口で言っても、その種類は様々。なかでも明日香村の「高松塚古墳の壁画」のような美しい装飾のある「装飾古墳」は特に人気が高い古墳です。

そしてこの装飾古墳が熊本をはじめ九州地方に多く見られることをご存知でしょうか?まるで昨日ペンキで塗られたといっても信じることができるようなはっきりとした色が残るチブサン古墳など、熊本には美しい装飾古墳がたくさん残されているのです。

この記事では熊本に多く残される装飾古墳についてご紹介させていただきます。

装飾古墳とはどんな古墳?

“豪族ほか身分の高い人を葬ったとされる古墳は、日本全国にその総数は大小合わせると10万基以上残っているといわれています。おそらく子供の頃に遠足や社会見学に出かけた人も多いのではないでしょうか。

古墳は3世紀から7世紀頃にかけて集中して作られており、そして特に装飾古墳と呼ばれる美しく装飾された古墳は全国で600基程度あるといわれています。この装飾古墳は、九州地方に特に多く残されていて、熊本では山鹿地域に集中しています。

熊本県内で最も歴史のある山鹿地域

装飾古墳とは、古墳の内部にある石棺や石室を、壁画やレリーフが施され、何らかの顔料で美しく彩色された古墳を指しています。
石棺や石室全体が赤色顔料で塗られている古墳はたくさん見つかりますが、このような古墳は装飾古墳とは呼ばれません。

壁画などのなんらかの文様表現が発見されてはじめて,装飾古墳と呼ばれることになります。
ちなみに日本全国の装飾古墳のうち、なんと30%が熊本県にあり、日本一の数を誇っています。

熊本の装飾古墳のすべてを知ることができる「熊本県立装飾古墳館」

国内の装飾古墳の30%が存在するとされる熊本ですが、実はその装飾古墳のほとんどが山鹿市の菊池川流域に集中しています。
そこで熊本の装飾古墳について全体像を知りたい場合は、ぜひ訪れておきたい場所が山鹿市にある「熊本県立装飾古墳館」です。

熊本県立装飾古墳館

全国でもここにしかない「装飾古墳」のミュージアムです。
日本が世界に残る建築家「安藤忠雄」氏の作品となる本館だけでも見学する価値があるほど美しい建物です。

この本館は、前方後円墳の形を模しており、敷地内にある熊本県最大級の前方後円墳と向いあうように建てられています。
展示の中心は、熊本の装飾古墳で最も有名なチブサン古墳をはじめとした美しい装飾古墳12基をピックアップし、出土した副葬品で再現したレプリカ古墳です。

寒原4号墳

普段みることのできない古墳内部を忠実に再現されており、知的好奇心を存分に満足させてくれることでしょう。
また本館の外に出れば、広大な「はにわ公園」が広がっており、そして敷地の斜面の法面には多くの横穴墓群があります。

はにわ公園

また、別館では勾玉などの古代のアクセサリー作りなどが体験できる教室が開催されています。

交通アクセスは、九州新幹線「新玉名駅」から40分「県立装飾古墳館入口」下車後徒歩20分、もしくは熊本交通センターからバス「山鹿温泉行」乗車し「山鹿バスセンター」下車後タクシー10分で到着します。

熊本の最も美しいチブサン古墳について

熊本県山鹿市には、もっともその名を知られ、そして最も保存状態がよくて今なお当時の美しさを残す装飾古墳「チブサン古墳」があります。その長さ45メートルもの巨大な前方後円墳です。

このチブサン古墳の周りには、ほかにも装飾古墳群「岩原古墳群」「城横穴群」「付城横穴群」「馬塚古墳」などがあります。北西約200mには「オブサン古墳」「鍋田横穴群」「弁慶が穴」があります。

岩原古墳群

チブサン古墳の名は、石棺の装飾が女性の乳房に似ているところから名づけられました。子育ての授乳がうまくいくよう「乳の神様」として今も当地の母親たちから信仰を集めています。

チブサン古墳の最大の見どころである、赤、白、黒で彩色された鮮やかでシンプルな図柄の装飾が、石室内の石屋形(いしやかた)に描かれています。赤は朱やベンガラ、白は白い粘土、青は青い石を砕いた粉を材料にしています。

特に、正面中央に描かれた二つの丸い文様が女性の乳房に似ているといわれています。
また古墳の前方部と後円部の境界線に当たるくびれ部分には、胴の部分に鎧を付けたやっこだこ形の石でできた人形が建立されていました。

この石でできた人型は「石人」と呼ばれ、現在東京国立博物館に展示されています。

熊本の装飾古墳で古代ロマンに浸ろう!

せっかく古墳を見学するなら、古代の人の手による痕跡が残る装飾古墳を優先して見学することをおすすめします。古墳に残された壁画やレリーフを目にすると、確かにそこに生きていた人々の営みが感じられ、時間を旅するタイムトラベラーの気分を味わえます。

古代に生きた私たちの先祖たちの心に触れるたびとして、ぜひ一度熊本が誇る装飾古墳を訪れてみてください。

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